UV-LEDレジン液より遥かに安い木工用ボンドは代用品になるか
カボションアイの肝は空気を抜く事なので、透明で空気が抜けるならなんでもよい訳です。
UV-LEDレジン液が100均で買えるといっても5gですから、すぐなくなってしまいます。
そこで「木工用ボンドでもできる」という情報があったので実際どのような結果になるのか実践してみました。
コニシの木工用ボンドはホームセンターでも100均でも売っています。
50gで100円前後なら10倍使えるのでは?
木工用ボンドとUV-LEDレジン液の違い
木工用ボンドの成分と性質
成分は酢酸ビニル樹脂と水。
この含まれている水が、素材に吸収もしくは蒸発することで固化します。
使用時白色ですが、乾燥して固まると透明に近い状態になります。
無印と速乾の違いは成分の比率です。
[無印]水59%酢酸ビニル樹脂41%
[速乾]水45%酢酸ビニル樹脂55%
UV-LEDレジン液の成分と性質
成分はアクリレートプレポリマーです( 商品により少し違いますがアクリル系の成分です )
誤解を恐れず言うと
アクリレート = アクリルの物質
プレポリマー = 物質が少しだけ繋がって網になりかけている状態
です。
特定の波長の光を当てる事で活性化し熱を発生する物質が混じっており、アクリル物質に影響を与え、アクリル同士が網状につながって硬化します。
結論から言うと代用になる
水分を蒸発させる必要があるのでガラスと耐水紙で挟んで水の逃げ道がなくなると失敗します。そのため、水を通す普通紙が適切となります。光沢シール用紙でも成功しますが少し時間がかかります。裏の台紙を剥がしてから加熱して乾かせば水分が逃げ、時間が経つと白もやが消えます。普通紙の場合目のクオリティに影響が出るとは思いますが手段の一つとして、好みの問題かと思います。剥がす際はボンドと用紙を削り落とす事になります。
普通紙の木工用ボンド接着。若干縦線を感じる
光沢シール紙の木工用ボンド接着
検証
失敗も含め、成功までの流れを掲載しています。
同じ手順でカボションアイを作ってみる
カボション、光沢シール用紙、ボンドを用意
用紙にボンドを乗せます。最初は真っ白です。
用紙にカボションを押し付けました。白いボンドが伸びます。
円を描くように全体に伸ばします。
※強く押し続ければ自然と伸びていきます。無理に動かすとインクが崩れます。
現時点ではボンドの白さで色がハッキリと見えませんが、周囲を映さず用紙が映されているのが分ります。
50分経過
あっ・・右下に気泡を感じたので爪で弾いていたら溶けたインクが伸びて絵が崩れてしまった。
1時間経過。まだ白い。
8時間経過。うーん。
こちらの記事によると
- 酢酸ビニル樹脂自体は透明
- 酢酸ビニル樹脂と水との境界で光が多方向に反射して白く見える
- 水が蒸発して消える事で、酢酸ビニル樹脂同士が接触して境界がなくなり透明に見える
との事です。
つまり白く見えるのはまだ水分が残っているから。
ここが「木工用ボンド」と言われる所以で、木材であれば水分を吸収してそこから蒸発してくれますが
ガラスと耐水紙では水の逃げ道がないのでいつまで経っても完全に乾きません。
ドライヤーで裏から熱を与えてみる。
5分程熱風を吹き続け、ガラスも激熱ですが見た目が変わる事はありませんでした。
ボンドの量が多かったのでは?とも考えられますが、一言で言うと失敗です。
耐水紙ではなく水を吸う普通紙の方が向いているのでは?
水の抜け道を考えるとそうなりますので、条件変えて再挑戦
カボション、普通紙、水分少ない速乾ボンド。
同じように用紙にボンド乗せます。
カボション押しつけます。
円を描くように伸ばしつつ、圧をかけます。
上からドライヤーで加熱していきます。
透明感が出てきた!?
裏面も加熱していきます。
透明になったっぽい。
水分が飛んで透明化したようです。これは成功ですね。( 画像は少し汚れが付着しています.. )
ただし、普通紙なので「きれい」で印刷しても縦線が見えていたりと、安く済ませたなりな感じはします。好みの問題と思います。
光沢シール紙の台紙が邪魔をしていたのではないか?
(;´Д`)!! 確かに。確認してみました。
裏の台紙を剥がしてから作業を行います。粘着力はそれほどないので大丈夫。
ボンド伸ばして表・裏とドライヤーで5分程乾かします。
若干白もやがかかっている感じですが・・成功か。やはり台紙で水分が飛ばなかったのが大きかったようです。
それからしばらくして・・あれ?透明度が上がっていた。
成功ですね。木工用ボンドでカボションと光沢シール紙の接着はできます。
ただし剥がす時は削る事になります。
硬化時間
普通紙+速乾ボンドにドライヤーで乾かした場合
ドライヤーかけ始めてから5分以内で透明化しています。作業時間は10分程です。
再利用性
光沢シール紙の失敗版はうまく固まらなかったのでどろどろでしたが、普通紙はしみ込んでいるので固まっています。水分が残ればどろどろ、蒸発してればカチカチです。紙にボンドがしみ込んでますので、破りながら剥がすしかありません。
水で濡らしながら削れば簡単に落ちていきます。綺麗に剥がれましたのでカボションは無事です。用紙は使い切りとなります。
水分を飛ばせば盛っても透明になるのか?
透明になるならボンドアイなんてできるのでは・・と試してみます。
液体なので乗せるだけで整形されます。
ドライヤーで5分程加熱していきます。
かなり熱しましたが透明になりません。おそらく、表面だけは水分が飛んで酢酸ビニル樹脂がくっつき透明膜ができているのですが、その膜の下に溜まった水分が逃げ道をなくしてずっと硬化しないのでしょう。
では真下からドライヤーで加熱して、上へ上へと水分を逃がしたら行けるのでは?
固まっていない部分を横の穴に流し込んで挑戦。
なんとなく固まりましたが、透明になる事はありませんでした。
ボンドアイは期待できませんね。
まとめ
- 木工用ボンドは水分を抜く必要があり、素材の相性が大事。
- カボションと用紙に挟んだ場合、耐水紙では失敗するが、水を吸う普通紙では成功する。光沢シール用紙は台紙を外してから作業すれば少しずつ水を通して成功する。
- 接着後、紙とボンドを削り落とせばカボションの再利用できるが手間がかかる。
- 盛った場合、表面は透明な膜ができるが内部の水分を飛ばせなくなるので、硬化しきれず透明にもならない。ボンドアイは作れない。
という訳で癖がありますが、安く済む・光沢シール紙でも成功するので意外とUV-LEDレジンと同じ感じにできる。手段の一つとして覚えておくと良いと感じました。
大量作成する場合でない限りUV-LEDレジン液とライトで作業するかは、用紙を再利用したいかどうかと、好みの問題と思います。